ご挨拶


会長(外科系):鈴木 孝明
(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科 教授)

会長(内科系):中埜 信太郎
(埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科 教授)
第45回日本心臓移植学会学術集会 開催にあたって

このたび、第45回日本心臓移植学会学術集会を、2026年6月20日(土)・21日(日)に東京都千代田区・JA共済ビル カンファレンスホールにて開催させていただくこととなりました。

本学会のテーマは
『ココロをツナグ』
“Linking Heart to Life, Uniting Spirits through Transplantation”
を掲げました。

このテーマには二つの意味を込めています。一つは、心臓移植という極めて複雑で連携の要となる医療において、すべての医療従事者が気持ちを一つにして、真摯にチーム医療に取り組む姿勢を象徴するものです。もう一つは、命をつなぐという行為そのもの―「思い」を込めた“ココロ”が、ある人の体から別の人の体へと託され、未来へと受け継がれていく―その尊さを示唆したものです。

現在、我が国の心臓移植医療は新たな転換期を迎えています。
全国で成人の心臓移植を実施可能な認定成人施設は12施設、うち11歳未満の移植が可能な施設は7施設です。2023年には年間の心臓移植実施件数が100を超えたものの、まだまだこの領域は高度な専門性と人材を要するため、本会のような全国集会を通して経験や知識の共有、ないしは課題抽出や方向性の打ち出しが必須です。また、移植手術件数の増加に対応可能とするための第二移植施設登録や不足しているドナー数への対応としてDCD(donation after circulatory death)の取り組みも喫緊の課題としてあげられています。
さらに2021年から運用されているDestination Therapy(DT:最終治療としての補助人工心臓)を実施可能な医療施設は、2025年5月現在で全国に22施設であり、今後さらに増加が予想されるこの治療に対して、各施設や地域の特性を考慮した柔軟な運用が求められています。
こうした現状をふまえ、本学術集会では、心臓移植医療に関わるすべての職種の皆様―外科医、内科医、コーディネーター、看護師、薬剤師、臨床工学技士、リハビリテーションスタッフ、栄養士、心理士、医療ソーシャルワーカー、事務職など―にご参加いただき、それぞれの立場からの知見と経験を持ち寄っていただける場を目指します。多職種連携の深化と、次世代人材の育成も、本会の重要な使命と位置づけております。

私ども埼玉医科大学国際医療センターは、小児から移行期、成人までを一貫して支えるハートチームを有し、補助人工心臓、心不全管理、そして心臓移植を包括的に担う体制を整えています。本学術集会では、こうした臨床現場の実践や課題も共有しつつ、全国からの英知を結集して未来の移植医療の在り方を共に考えてまいります。

2026年初夏、東京・平河町にて、心臓移植医療の「今」と「未来」を語り合う二日間となることを願って―。多くの皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。